Lectures
Reading the foundational literature on Economic Security Katsuya Tamai
現在の世界は、激動の中にある。
冷戦終結後の約30年間、世界経済の基調は「グローバル化」であった。物とサービスの貿易を自由化し、知的財産権の保護水準を斉一化しようとするWTO協定が、1995年に発効した。製造業のサプライチェーンは全世界に延び、各国の国民経済は「フラット化」し、それでも残る国や地域の特色を現地で享受させる観光産業が隆盛となった。その間、わが国はこの変化によく対応できず、国際的地位は低下を続けた。
いまや、この基調が大きく変わろうとしている。軍民融合や千人計画、一帯一路などを通じて戦略的な経済安全保障政策を進めてきた習近平体制の中国は対外政策を更に強硬にしてきており、特に台湾をめぐる情勢は日に日に緊迫している。これに対する米国の反発姿勢は、バイデン政権下でますます強まってきた。この米中対立の激化により、既存の国政政治の枠組みが変化してきただけでなく、AUKUS、クワッド、IPEFといった、新たな枠組みが成立しつつある。そして、ロシアのウクライナ侵略戦争という既存国際秩序へのあからさまな挑戦は、さらに大きな不安定要因を形成している。これに伴って国際経済も大きく変化しており、日本を含む各国の法や企業のビジネスにも、深刻な影響が及んでいる。
担当教員(玉井克哉)は法学者であるが、知的財産法や行政法などの分野で、日本のルール形成に従事してきた。その立場から、現在の急激な変化を踏まえたルール形成戦略を研究対象にしつつある。
担当教員(井形彬)は国際政治・経済安全保障の研究者であるが、経済安保に関する最先端の議論を国内外の政策決定者や有識者と頻繁に行っている。
また、武見綾子准教授(グローバル合意形成分野)が随時参加する予定である。同准教授は、国際的なヘルス・セキュリティと保健政策の専門家であり、マッキンゼーでコンサルタントの経歴や、世界保健機関(WHO)での職歴も有しており、本年2月から、先端研において「グローバル合意形成分野」を立ち上げる、気鋭の研究者である。
このゼミでは、法律と政治という異なる視点から「経済安全保障」について研究してきた担当教員二人と共に、今後の日本の大戦略について議論し、理解を深める機会を提供する。
Code | Course Title | Lecturer | Semester | Period | 51457 CAS-TC1200S1 |
Specialized Seminar | Katsuya Tamai Akira Igata |
A1A2 | Tue. 5th |
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