【イベント開催】「経済安全保障における官民関係:米・中・EU・豪・南ア」

【イベント開催】「経済安全保障における官民関係:米・中・EU・豪・南ア」

 2024年6月14日(金)に ESRP は Law & Geoeconomics と共に、 Helsinki Geoeconomics Week と在日フィンランド大使館の協力のもと、シンポジウム「経済安全保障における官民関係:米・中・EU・豪・南ア」を開催しました。

経済安全保障における官民関係:米・中・EU・豪・南アの国際比較

 米、中、EU、豪、南米を専門とする5人の専門家を招聘し、各国の経済安全保障政策に関する情報交換を行った後、井形彬特任講師をモデレーターとしたディスカッションを行いました。

 アメリカの専門家である、Mireya Solís 氏は、中国による技術、経済分野の挑戦に加えて、サプライチェーンの他国依存に対する危機感から、アメリカにおいて、先端技術への補助金や輸出規制などの経済安全保障政策を大きく推進する動きがあることを説明しました。また、この動きによって、政策立案における、産業界の影響力が減衰し、「安全保障第一」という言説が広がっているという分析を示しました。

 中国の専門家である、William J. Norris 氏は中国の経済政策の歴史やエコノミックステイトクラフトについて概説した後、近年の中国の経済安保政策について述べました。世界の超大国として君臨するために、中国政府は 2035 年計画などの先端技術開発や一帯一路を用いたサプライチェーンの多様化を進めています。一方、これらの経済安保政策の推進に伴って、資源や食糧の輸入が増加することも考えられるため、これらの政策は中国にとっても一定のリスクを孕んでいるという分析が示されました。

 EU の専門家である、Jens Hillebrand Pohl 氏は EU が「単一市場」を前提として、加盟国と共に、データに基づいて脅威を分析し、輸出規制などの政策を進めていこうとしていることを解説しました。また、デカップリングの代替案として、デリスキリングが注目を浴びていることなどを例に、EU が米中間でバランスを取ることを目指しているという分析を示しました。

 オーストラリアの専門家である Darren Lim 氏は中国の脅威や感染症の影響に直面したことで、オーストラリアでは経済と安全保障の関係性が大きな転換点を迎えていることを解説しました。オーストラリアが同盟国であるアメリカとの協力にとどまらず、インド太平洋諸国の一角として、地域的な協力も模索しているという分析を示しました。

 ブラジル連邦共和国の外交官である、Henrique Choer Moraes 氏は南米諸国は欧米とは異なり、経済安全保障を念頭とした規制にはそれほど関心がないということを説明しました。また、中国資本が南米の産業に大きく影響力を伸ばしている一方、アメリカのプレゼンスが縮小しているという分析を示しました。また、EUは中国に対する危機感を持ち、南米との協力構築を目指しているということについても解説しました。

 その後に行われた、ディスカッションや会場からの Q&A セッションでは、「各国の特徴的な官民関係」や「デカップリングとデリスキング」など、経済安全保障について考えるには不可欠な問題について、専門家がそれぞれの知見から議論を交わしました。

 世界各国の専門家が一堂に会し、情報交換や議論を行った本シンポジウムは経済安全保障をめぐる情勢が複雑化している中で大きな意義のあるものになりました。

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