東大先端研 ESRP は米国笹川平和財団と共に、シンポジウム 「日米 AI セキュリティ協力:偽情報・サイバー脅威に関する敵対的 AI リスクと緩和戦略」を開催しました(2024/07/19)。
米国から AI 技術に関する政策立案を行う担当者や AI 研究者を 4 名招聘し、それぞれの専門分野についてレクチャーを行った後、井形彬特任講師をモデレーターとしたディスカッションを行いました。
米国国土安全保障省の AI 技術に関する政策担当者である Amy Henninger 氏は AI に対する攻撃や AI による攻撃を分類し、 AI 領域とサイバーセキュリティ領域の関連性を解説しました。また、それぞれの分類や領域に適した政策を立案することが重要だという見解を示しました。
パシフィック・ノースウエスト国立研究所所属のデータサイエンティストである Maria Glenski 氏は情報通信技術の発達によって、情報が拡大するスピードと量が増大していることを指摘しました。これによって、 AI に外部から膨大な情報量が流れ込むことになり、その管理が重要になってくることを解説しました。
オークリッジ国立研究所の AI 安全保障センター局長である Edmon Begoli 氏は様々な分野に AI を実装するにあたって、研究課題が山積みになっていることを指摘しました。また、 AI 技術の発展のために、基礎研究が重要であるという見解を示しました。
ローレンス・リバモア国立研究所の国際安全保障アソシエイトプログラムリーダーである Michael Goldman 氏は AI を実装するにあたって、それぞれの分野に特有のリスクがあることを解説しました。そこでデータをいかに用いるかという「データガバナンス」が不可欠であることを指摘しました。
その後に行われた、ディスカッションや会場からの Q&A セッションでは、「日本が AI セキュリティに貢献できる点」、「 AI の透明性に関わる問題」、「データポイズニングをはじめとした AI のリスク」などの今後の AI 政策に不可欠な論点が議論されました。
米国から専門家を招聘し、最先端技術の一つである AI について議論を行った本シンポジウムは日米同盟のさらなる強化が進められる中で大きな意義のあるものになりました。