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ESRPに所属する教員が開講する授業の一覧【東京大学教養学部(前期課程)】

全学自由研究ゼミナール「経済安全保障の基本」(火曜5限) 玉井 克哉

玉井克哉教授、井形彬特任講師、川井大介特任助教
ゼミ名:「経済安全保障の基本」
スケジュール:週1回火曜日5限(6限に補講をすることがあります)
開催場所:先端研 4号館6階ルール形成戦略研究室@駒IIキャンパス

冷戦終結後の約30年間、世界経済の基調は「グローバル化」であった。物とサービスの貿易を自由化し、知的財産権の保護水準を斉一化しようとするWTO協定が、1995年に発効した。製造業のサプライチェーンは全世界に延び、各国の国民経済は「フラット化」し、それでも残る国や地域の特色を現地で享受させる観光産業が隆盛となった。その間、わが国はこの変化によく対応できず、国際的地位は低下を続けた。
 いまや、この基調が大きく変わろうとしている。軍民融合や千人計画、一帯一路などを通じて戦略的な経済安全保障政策を進めてきた習近平体制の中国は対外政策を更に強硬にしてきており、特に台湾をめぐる情勢は日に日に緊迫している。これに対する米国の反発姿勢は、バイデン政権下でますます強まってきた。この米中対立の激化により、既存の国政政治の枠組みが変化してきただけでなく、AUKUS、クアッド、IPEFといった、インド太平洋地域に新たな枠組みが成立しつつある。そして、ロシアのウクライナ侵略戦争という既存国際秩序へのあからさまな挑戦は、さらに大きな不安定要因を形成している。これに伴って国際経済も大きく変化しており、日本を含む各国の法や企業のビジネスにも、深刻な影響が及んでいる。

そのような状況下にて経済と安全保障の連携はますます重要になっているのは自明である。本ゼミでは、「経済安全保障」という経済的手段を通じた安全保障の確保とそれを支える法制度について深く学ぶ。

特に、サプライチェーンの問題、経済的威圧やディスインフォメーションへの対策等を含む多岐にわたる国内外の課題に焦点を当てる。また、先端科学技術の保護と育成、国際的な技術覇権競争についても議論する。

地政学的な対立が先鋭化する中、日本の国益をいかに護っていくべきか。経済安全保障の観点から、戦略的な思考力を身につけることを目指す。

文理問わず将来のリーダーとして、複雑化する世界情勢に対応するための知識とスキルを磨く絶好の機会である。ゼミ生同士の活発な議論や実務者による講義を通じて、経済安全保障の最前線に触れる機会を提供するゼミナールである。

時間割/共通科目コード コース名 教員 学期 時限
51457
CAS-TC1200S1
玉井 克哉
井形 彬
川井 大介
A1A2 A1A2

「経済安全保障」の基本文献を読む 玉井 克哉

 現在の世界は、激動の中にある。
 冷戦終結後の約30年間、世界経済の基調は「グローバル化」であった。物とサービスの貿易を自由化し、知的財産権の保護水準を斉一化しようとするWTO協定が、1995年に発効した。製造業のサプライチェーンは全世界に延び、各国の国民経済は「フラット化」し、それでも残る国や地域の特色を現地で享受させる観光産業が隆盛となった。その間、わが国はこの変化によく対応できず、国際的地位は低下を続けた。
 いまや、この基調が大きく変わろうとしている。軍民融合や千人計画、一帯一路などを通じて戦略的な経済安全保障政策を進めてきた習近平体制の中国は対外政策を更に強硬にしてきており、特に台湾をめぐる情勢は日に日に緊迫している。これに対する米国の反発姿勢は、バイデン政権下でますます強まってきた。この米中対立の激化により、既存の国政政治の枠組みが変化してきただけでなく、AUKUS、クワッド、IPEFといった、新たな枠組みが成立しつつある。そして、ロシアのウクライナ侵略戦争という既存国際秩序へのあからさまな挑戦は、さらに大きな不安定要因を形成している。これに伴って国際経済も大きく変化しており、日本を含む各国の法や企業のビジネスにも、深刻な影響が及んでいる。
 担当教員(玉井克哉)は法学者であるが、知的財産法や行政法などの分野で、日本のルール形成に従事してきた。その立場から、現在の急激な変化を踏まえたルール形成戦略を研究対象にしつつある。
 担当教員(井形彬)は国際政治・経済安全保障の研究者であるが、経済安保に関する最先端の議論を国内外の政策決定者や有識者と頻繁に行っている。
 また、武見綾子准教授(グローバル合意形成分野)が随時参加する予定である。同准教授は、国際的なヘルス・セキュリティと保健政策の専門家であり、マッキンゼーでコンサルタントの経歴や、世界保健機関(WHO)での職歴も有しており、本年2月から、先端研において「グローバル合意形成分野」を立ち上げる、気鋭の研究者である。
 このゼミでは、法律と政治という異なる視点から「経済安全保障」について研究してきた担当教員二人と共に、今後の日本の大戦略について議論し、理解を深める機会を提供する。

時間割/共通科目コード コース名 教員 学期 時限
51457
CAS-TC1200S1
全学自由研究ゼミナール (「経済安全保障」の基本文献を読む) 玉井 克哉
井形 彬
A1A2 火曜5限
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