東大先端研ESRP はシンポジウム「変化する時代における日・スウェーデン関係:2024年選挙後の共通の利益と機会の探求」を在日スウェーデン大使館、スウェーデン国際問題研究所(UI)、スウェーデン国立中国研究センター(NKK)とともに、開催しました(2024/11/22)。
開催に先立って、東大先端研ESRPディレクターの井形彬 、駐日スウェーデン大使のViktoria Li閣下、NKK, UI ディレクターのBjörn Jerdén氏、UI アジアプログラム責任者Åsa Malmström Rognes氏(写真左から順)が開会の挨拶を行いました。
第一セッションでは、「スウェーデンと日本は、2024年に実施された様々な選挙や、中国とロシアの連携強化の影響をどのように認識しているのか」というテーマに関して議論が行われました。NKK, UI ディレクターのBjörn Jerdén氏、東京大学公共政策研究大学院教授のYee Kuang Heng 氏、東京大学先端科学技術研究センター教授の中井遼氏(写真左から順)が登壇しました。セッションではYee 氏がモデレーターを務めました。Jerdén 氏は中露関係の強化やトランプ政権の成立がヨーロッパ情勢に与える影響について懸念を示しました。中井氏はリトアニアや日本の選挙結果が国際政治に与える影響について解説しました。
第二セッションでは、「スウェーデンと日本は中国の台頭にどのように対応しているのか」というテーマに関して議論が行われました。東京大学先端科学技術研究センターポスドクフェローのヴィクター・ファーガソン、NKK UI アナリストの Lisa Zhang 氏、東北大学法学部助教の Antoine Roth 氏(写真左から順)が登壇しました。セッションではヴィクター・ファーガソンがモデレーターを務めました。Roth 氏は中国の台頭については地政学的観点と経済的観点の両面で分析するべきだという見解を示しました。Zhang 氏はスウェーデンの政策を分析した上で、スウェーデンにおいて、インド太平洋地域への関心が高まっていることを説明しました。
第三セッションでは、「日欧間のディリスキングに関するアプローチの比較」というテーマに関して議論が行われました。UI アジアプログラム責任者のÅsa Malmström Rognes 氏、NKK,UI アナリストの Hillevi Parup 氏、井形彬(写真左から順)が登壇しました。セッションでは、Rognes 氏がモデレーターを務めました。Parup 氏はスウェーデンをはじめとしたヨーロッパ諸国における、中国を念頭に置いたディリスキングについて解説しました。井形彬は日本における経済安全保障の概念やディリスキングついて解説し、日本とスウェーデンが官民両方の領域で協力する必要があるという見解を示しました。
日本、スウェーデン間の協力の可能性を議論した本シンポジウムは、中国やロシアによる脅威が高まるなか、両国関係にとって有意義なものになりました。