NHK WORLD-JAPANの討論番組 “Global Agenda” 「トランプ2.0とアジアの安全保障」に東大先端研ESRPディレクターの井形彬特任講師が出演しました (2024/12/15)。
ヘリテージ財団のBruce Klingner氏(Senior Research Fellow)、The Asia Groupの Kurt Tong氏(Managing Partner)、メイン大学のKristin Vekasi氏(Professor, Political Science)らと共に、次期トランプ政権(Trump 2.0)におけるアジアの外交政策、経済、安全保障に与える影響について議論しました。
主なテーマは下記の4点です。
1 「アメリカ・ファースト」政策
同盟国との協力よりも貿易や外交で積極的に自国の利益を優先する。
「Tariff Man」を自称するトランプ氏による、日本および他のアジア諸国への関税政策が懸念される。
2 米中対立とインド太平洋戦略
中国における軍事力拡大や北朝鮮の核問題がアジア地域の緊張を高める中、トランプ政権の対応に注目が集まっている。
バイデン政権とは異なり、トランプは多国間協力を嫌い、単独行動を取る可能性が高い。
3 日米経済安全保障
近年、中国が希少資源を利用して経済的圧力をかける事例が増えており、日本とアメリカは供給網の強化を進めている。
半導体や希少金属の供給問題に関して、台湾資本の工場誘致など、日本とアメリカは共同で解決策を模索している。
4 外交と防衛協力
日米の経済安全保障における技術共有と防衛協力が重要視され、特に中国や北朝鮮の脅威に対する対応が議論されている。
日米関係が深化し、共通の安全保障目標に向けて協力が深まっている。
中国、ロシアおよび中東情勢への対応においても、米国が単独行動戦略を取る可能性について周辺国が対応を注視している。
井形特任講師は次期トランプ政権における最大の課題として関税を挙げ、「アメリカの国益に対する競合国だけでなく、同盟国にも圧力をかけるための手段として関税を利用しているように思えるのは非常に遺憾である」と述べています。
また、経済安全保障における日米協力は死活的に重要という視点から、「国家関係の信頼関係構築は長時間を要するが崩れるのは一瞬だ。また、同盟国やパートナー国への関税はビジネスの米国離れに繋がる恐れがある。さらに、『安全保障上の理由』としてUSスチールの買収を阻止することは、米国への信頼性を想像以上に損なう可能性がある」とコメントしました。
そして「どのような状況であろうと、日本にとって米国はこの地域で最も重要な同盟国であり、日本は米国と協力する必要がある。 しかし唯一の選択肢ではない。日本は日米二国間関係だけでなく、他の単独または多国間協力を通じても貢献し続けるべきである」と総括しました。
番組アーカイブは下記リンクよりお好きなタイミングで視聴していただけます(2025年12月15日まで)。
ぜひご覧ください。